| 日本のアイビースタイルは、石津謙介という偉大なるリーダーと「VANジャケット」と言う一世を風靡した大メーカーがあったために、アメリカに比較して、非常に特殊な発展の仕方を遂げて来た。
これは、結論的にいえば、いい意味でのガラパゴス化現象。つまり、本場とはかなり違う我国独特の発展の過程をたどって現在に至っている。そしてそのファンの数も多い。
そこで、アメリカでアイビーの復活が伝えられると、ほとんどの人が、昔のものがそのままカムバックして来ると考えるのが普通である。しかし、そんなことはあり得ない。
余談になるが、今から5・6年前のこと、ニューヨークでブルックスブラザーズ社の前社長ジョゼフ・R・グロメック氏とニューヨークで会い、詳細に同氏にブルックスの商品について意見を聞いたことがあった。この時、私が1番始めにアメリカに来たのは、1959年と言ったら、氏は「当時は、自家用車は皆テールフィンの付いた、超大型のものばかりだったろう。その時代は、大きな車に乗るのがステイタス。しかし今では、ハイブリッドの小型車こそステイタスだ。このように人々のライフスタイルが大変化しているのだから、着る服がいくらトラディショナルだといってもまったく変らないはずが無いだろう‥‥」と言った。この言葉には「その通りだ」と思ったものだ。
しかし、何はともあれ、石津先生は我々に、服そのものだけでなく、コーディネーションの仕方や、精神面のこと迄教えてくれた。これは本場アメリカにもなく、深くリスペクトしなければならないことである。
そこで私は私なりに、次のような結論を下したい。
新しい21世紀のアイビースタイル商品企画で気を付けるべき点は次の3つである。
1. ディテールデザイン、生地の柄、などにはちゃんとアイビー独特のものを伝承したい。流行だからと言って何でもありは駄目で、出来上った商品にはアイビーのDNAが感じら れ る も の で な け れ ば ならない。
2. ただし、シルエットや機能は現代的でなければならない。
細身のファッションが世の中の主流の時代に、ダボダボの大きいものが売れるはずが無い。ズボンのカフなども、昔のままの太さでは見向きもされない。細く仕上げよう。
生地などにも、雰囲気を壊さない範囲で機能性のあるものを取り上げるべきだろう。
3. 冒頭の読売新聞の記事にもふれられていたが、シワ加工やウオッシュ加工、身頃に入れるレターやロゴなどのプリントを現代的にするなど、表現の微調整は絶対必要である。
これを上手く行えば、デザインは昔とまったく同じでも、なつかし新しい効果が得られる。
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