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第9章 After 6

 



 

ここでは、あえてフォーマルとは云うまい。
アフター・シックス
つまり夜のとばりがおりてからの
トラディショナルファッションである。
親しい仲間たちによる
はなやいだ、ドレスアップのしーんにも
トラディショナル・マンの
遷延された装いと、気軽な着こなしが、
楽しく同居している。


ブレザーをアフター・シックスに着る

     

 

 

●その1


先日、名古屋で、あるメンズ・ショップの息子さんの結婚式に出席した。
なかなか盛大な結婚式で、出席者はみな例の略礼服という、日本独特の黒のドスキンの服
だったが、感心したのは、学生時代の友入たちが、みな思い思いのブレザーを、フォーマ
ルに装って参集していたことだ。
中には、今流行のブレイド(側雍)の付いたブリテイッシユ・タイプのブレザーを着ている
人もあって、そのブレイドが、ネービー・ブルーの地に対して、ダークなワイン・カラー
であり、これにボウ・タイを会わせたところなどは、非常に若々しく、これはこのままアフ
ター・シックスのパーティに着てもすばらしいな、と感じたのである。
そこで、ここで、本末はスポーティなブレザーを、どうすればドレッシィに変化して着ることができるかかんがえてみよう。


(1)ベースになるブレザーには

どんなブレザードレッシィに装えると云うわけにはいかない。
キャメルやグリーンのブレザー、いくらアクセサリーを工夫しても 、アフター・シックスのバーテイ・ウエアとして着るのは不都合だろう。
何といっても、ブルー・ブレザーが一番だ。
フレインな三つボタンのピュア・トラデショナル・モデルのものや、紺地に白やワイン・
カラーのブレイドをあしらった、ブリテイッシュ・タイプのブレザーーがよいだろう。


(2)ドレス・シャツとタイ
ドレス・シャツで、もツとも無難なものは白紅地、白無地ならボタン・ダウンでもよく、
これに、レジメンタル・ストライブのボウ・タイをあしらえば、ちょっとしやれた感じに
なる。
身頃が色もので、衿が白のラウンド・カラーか、ブレイン・カラーのクレリック・シャツ
もアフター・シックスにふさわしい。この場合は、見頃はあまり濃い芭でなく、ごくう
すいブルーやピンク、イエローなどがいい。
プリーテッド・ボゾム(ヒダ恟)で、ウイングカラーの本格的心フォーマル・シャツをブレ
ザーに会わせるのも、非常にしやれた感じになる。

●その2


引き続いて、ブレザーをアフター・シックスにきるには、どんなものを会わせたらよいかを参えてみよう。

(3)フアンシィ・ベスト
濃紺のブレザーにフアンシィ・ベストを会わせると一層ドレッシィ感が倍加するに違いない。
色は白、又はホット・レッド、ボタンは、ブレザー・ボタンとコーディネイトさせて、ブ
レザーがゴールドなら、ゴールドのものを付けたものにする≒効果的だ。

(4)カマー・バンド
ちょっと邪道だが、ブレザーにタキシード用のカマー・バンドを合せてみてはどうだろう。
といっても、シルク・サテンの黒の本格的なものなどでは合わないから、タータン・チェ
ックなどで、特注して作れば、引き立つことうけ合いである。
ついでにボウ・タイも友地でこしらえておくとよいだろう。

(5)スラックス
ネービー・ブルーのブレザーにどんなスラックスを会わせると、ドレッシイなふんい気が出るだろうか。
まず第一がチャコール・グレイ。これは常識的だが、ネービー・ブレザーにチャコール・
グレイのスラックスーの組み合わせは、ドレッシイなスーツと同等の扱いを受け、者こなしのうるさい、ニースのカジノでもOKだそうである。
次が純白のフラノ。この場合は、靴はホワイト・バックスをはくべきだが1920年代のク
ラシックなアフター・シックスのふんい気が出るだろう。
ダークなブラック・ウオッチのスラックスも、なかなかしやれた感じである。靴下を濃紺、
靴をタッスル付きのスリップオンにすれば、よく似合うのではな かろうか。

 
   
   
いざというときのために一着侍っていたい
   
   


タキシード

いうまでもなく、礼装を夜と昼とに分けるのは、午後六時が境である。パーティは午後六
時以降、つまりアフター・シックスに行われることが多いから、もし、正式の招待状が米
て、「ホワイト・タイ」及至は「ブラック・タイ」と非かれていたら、ホワイト・タイは燕
尾服、ブラック・タイはタキシードを着ていかなければならない。
しかし、えんびふくなどという大袈裟な服装は日本ではオーケストラのコンダクターか、外
交官でなければ、ほとんど不必要だから、若い人にとっては、タキシードは、アフター・
シックスの第一種礼装と考えてよいだろう。
タキシードは、正式には色が黒で、上着はシングルかダブル、衿はショール・カラーか
ピークドこフペル(剣衿)で、衿の表面はシルク・グログランか、シルク・サテンでおおわれており、ズボンは共地ダ二本のブレイドが縫い付けられているのが普通である。
夏は、黒の上着の替わりに、白の上着を着てもよい。これは航海上の船の上でも同じで、私
も、オリアナ号というイギリスの豪華船で旅行をした時、タキシードを忘れて乗船した人
のために、船の中のブティックて白のタキシードの上着が売られており感心したことがあった。
もっとも、最近では、白以外にも色もののタキシードを着る人もいるが、あまり派手なものは、芸人じみていただけない。
若ものの中には、ダークなブラック・ウオッチ柄のタータンで上着を作り、ショール・カ
ラーなどの衿に黒のシルク・グログランをかぶせて、これに黒のフォーマル・トラウザー
スを会わせ、黒のカマーバンドに、黒のボウ・タイを組合せたりしているが、こんな合せ万は非常にユニークで、とてもトラディショナルなふんい気が出て、好ましいと思うのである。

   

 


 

 

   
脇役が装いにきらめきを与える
   
 

 


タキシード用のフォーマル・アクセサリー

ここで、あまり実川的でないかもしれないが、常識としてタキシードを着る場合、アクセサリーには、公式にどんなものを合わせたらよいかを知っておくのも無駄ではあるまい。


●ドレス・シャツ
フリル付きと、プリーツ付きのものとがあるが、派手なフリル付きは芸人くさいので、ト
ラデイショナルマンは、プリーテッドになったものを選ぼう。
袖先はダブル・カフスで、ここに、小型のシルバーや黒曜石などのカフリンクスを飾る。
最近では、クラシックな傾向が強くなっているので、折衿のものより、ウイング・カラー
の方が人気がある。色はやはり白無塙がいいだろう。

●タイ
黒が伝統的な色で、鶴子かグログラン、ビロードなどのボウ・タイが普通である。一頃コ
ンチネンタル・タイといって、前でクロスするものが用いられたが、この流行は、すっか
り時代おくれになってしまった。
黒以外では、カマー宍ンドと其地のものを合せる陽介がある。ただし、白は、燕尾服用
なので、絶対におかしい。

●カマー・バンドとフォーマル・ベスト
腹巻き型のカマー・バンドは、フォーマル・ベストが簡略化されたものである。黒が正式だが、これに、他の色を使う場合もある。
フォーマル・ベストは、黒無地が大半、背中を細い紐で止めるエプロン型のものが多い。
このフォーマル・ベストに細いシルバーのチェーンなどをあしらうと、とてもクラシック
な感じのするものだ。

●サスペンダー
フォーマルなトラザースは、股上が深く作ってあるから、サスペンダーで吊るのが正式で
黒っぼいものが普通だが、上着を着た場合見えないから、しやれて真赤なサスペンダーを
あしらう人もいる。

●靴下
ソックスといわず、ストッキングと称するのに注意しよう。黒無地でシルクが正式、こん
をガーターで吊るのが本格的である。

●靴
パテント・レザー(エナメル)のパンプス(浅いフォーマルなスリッブオン)か、パテント
レザーのブレイン・トウ(無飾り)の靴をはく。

 
   
   
装いの約束ごとと個性の主張の接点は
   
   

 

フォーマル・エトセトラ

TPOの第一はフォーマル。このオケージョンだけは“時”つまり夜と昼とに厳然たる区
別がある。
夜のパーティなら、タキシードが第一礼装だ。タキシードは「ブラック・タィ」という別名があるのでもよくわかるように、黒のボウ・タイが本当。もっとも略式ならカマーバンドが
ィンデイア・マドラスで、ボウ・タイも共地というのなどしやれているが、よくテレビで見
かける三文芸人みたいに、タキシードに白のボウ・タィなんていうのは、けっしてしては
いけない。
もう少し気軽に装いたいなら、ブラック・スーッという手もある。ただし、黒外地の、ド
スキンのブラック・スーツは日本独特で、外国にはどこにもない。タキシードが少し大袈
裟だと思う日本人心理につけこんだ、頭のいいフォーマル・ウエア屋さんの面魂の巧み
さではないだろうか。
生地はこのようにドスキンにかぎらなくてよいが、デザイン的には汗くさい働き者とは違ったふんい気の一つボタン、ビークド・ラベルなどにしてたい。これにシルバー・グレイ
のベストでもあしらえば、ミッドナイト・ブルーの光沢のあるウーステッドのスーツなら
充分準礼装として通用する。
昼のフォーマル・ウエアとしては、いうまでもなく、モーニングが一番正装である。
もっとも、このモーニングは、若い人であまり着なれない人は、左に述べたブラックやミ
ッドナイト・ブルーのスーツをほどよいアクセサリーによって首こなせば、それで合格だろう。
以上がフォーマル・ウエアの公式だが、公武はさておくとして、もっとアイビーぼく装い
たい、というのなら、シングルやダブルのミッドナイト・ブルーのブレザーに、替ズボン
という手もある。
夜のバーティなら、このブレザーに白のフラノのスラックスにホワイト・バックスを会わせ
てみよう。1920年代のクラシック・ルックというわけである。
昼の友人の結婚式には、ブルー・ブレザーにチャコール・グレイのスラックスで臨もう。
これでも、若者なら、充分フォーマル々感にが出せるのである。           

 
   
   
豊かなナイトライフに……
   
   

 

   

パシャマはほとんど自分で買わないで、奥さんかお袋さんが買うので、値段が安くなけれ
ば売れないI――‐というのが目本の実情のようだが、アメリカにはデザイン・パジャマ専
門のメーカーもあって、その年々にテーマを付けて、変ったデザインを発表している。
パッケージなんかもなかなか気がきいていて、そのままプレゼントしてもよいようになって
いるものもある。
こんな所を見ていると、外出前には金を掛けても、家の中で着るものには争を掛けない日本の後進性みたいなものを感じるわけだ。
手許に、エスクワイヤーが発行した「ファッション・フオー・メン」という本があるが、パ
ジャマの項を見ると、デザインにより、パジャマを次のように分類しているので、参考の
ためにこれを紹介してみよう。

●コート・スタイル
上着が衿の付いたスポーツ・ジャケット風のデザイン、長袖でズボンは長ズボン、ウエス
ト部分にゴムが入っており、前はスナップー止めになるもの。

●カラレス・コート
上着のスタイルは、衿のないカーディガン様、胸ボケットー個か、恟ポケットーつに脇ポケ
ットニつの三つポケット、長ズボンか、盛夏用にショート・パンツのものもある。

●ショート・スリーブ・パジャマ
薄手の涼しい生地でデザインされており、上着は普通のボタン・フロントか、ブルオーバー・スタイルである。

●スキー・パジャマ
冬田のパジャマ。普通の、又は起毛されたコットン・ニット地て作り、ズボンはスキー・ズボンみたいに裾口がゴム編みになっているもの。上着はトレーナー式のデザインである。

●ナイトシャツ
シャツの裾を長くしたようなデザイン。かなり古くからあり、よくアメリカ映画のドタバタ喜劇に出て氷る。ボタン・フロント墾とプルオーバー型の二型があるが、ともにひざ小僧位の長さである。生地かニットで作られ
ている。

●ジュウドー・スタイル
ボタンなしてウエストを研で結ぶ、柔道者風のデザイン。

 

 

 

   
  -まとめ-


   
トラディショナル・ワードローブ基礎の基礎
 

 

あなたが学生だとしたら、ワードローブ(持ち衣裳)ぱ学園生活を送るに必要なカジュアル・ウエア中心になろう。そして又、あなたがフレッシュ・ビジネスマンなら、大半の時間をビジネスについやすので、当然ビジネス・ウエアが主力になろう。
最少の投質で最大の効果をトげるワードローブ作り、これには、いくつかの公式がある。
最後に、この公式を説明していこう。


(1)まず着こなしのプランを立てる
よい仕事にはよいプランニングが必要なように、上手に着こなすにも、気に入ったものを
衝動買いするのでなくちやんとした計画が必要である。
あなたがビジネスマンなら、持ち衣裳として最低必要なものは、ビジネス・スーツが存・
秋・冬の三シーズンの共用としての二着と、盛夏用としての一着、これに盛夏を除いて少
くとも三シーズン着られるブレザーが一着いるだろう。
一方、君が学生なら、スーツ等一着あれば充分で。後は全部カジュアル・ウエアの方がよりベターだ。

(2)いつも着る色をはっきり決めよう
「あなたは、紺がよく似合う---」なんてガール・フレンドに云われた経験を持つ人が多いのではないだろうか。
大多数の人は、この、人から似合うと云われた色が、自分自身の好みの色である場合が多い。
衣服に使える予算が少ないうちは、ブルーのブレザーの次にキャメルのブレザーを買うという事は 、靴もアクセサリーも、まったく新しく誂えなければならず非常に無駄である。

(3)できるだけイヤーラウンド(一年通し)で 着れるものを選ぼう
あまり持ち駒もないのに、これを、春・夏・秋・冬とシーズンごとに分けていたのでは
余計に少くなる。
スーツなら、軽量の生地にして下着の調節で一年中着る。コートなら厚手のコートでな
く裏地を取脱せるスリー・シーズン・コートにするなどの配慮も大切である。

(4)トップ・ファッションはあきらめよう
晨初に背広を買う時、派手な柄、日出つファッションは止めにしたい。
何故なら、目立つ服は、着たきり雀を、余計に強調する結果になるだけだからである。
できるだけ仕立てのいいスタンダード・デザインの服を、アクセサリーによってふんい気
を変えて長く着る--これは女性の場合にもいえる着こなしの服要ボイントの一つである。

 
   
第9章 終わり

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